将棋の戦いは歩と歩がぶつかり、陣地の壁を壊し合うことから始まります。壁を壊すテクニックとしてよく用いられるのが「合わせの歩」と「継ぎ歩」の2つです。 |
第1図から▲2四歩と合わせて△同歩▲2五歩(第2図)ともう一度、歩を合わせるのが継ぎ歩です。△2五同歩なら▲2四歩と先に「垂れ歩」を打つのが大切なところで、すぐ▲2五同飛は△2三歩と壁を修復されて、効果がない点を強調してください。▲2四歩と打てば次に▲2五飛〜▲2三歩成の飛車先突破を、後手は防ぐことができません。 継ぎ歩とは合わせの歩の連続攻撃と考えてよいでしょう。陣地の境界から歩の壁を吊り上げて背後に拠点(垂れ歩)を作るのが主な目的です。もし後手の連絡のない駒が五段目にいれば、△2五同歩に▲同飛と取る十字飛車も有効で、五段目にいる駒を取るぞ、と▲2四歩の両ねらいでも先手成功となります。 |
もうひとつ、第1図から▲1五歩△同歩▲1三歩(第3図)という端から攻める筋もあります。以下△1三同香に▲1四歩△同香▲2四歩△同歩▲同飛(第4図)となれば、後手は次の▲1四飛の香取りを防ぐことができません。 かといって第3図で△1三同角は▲1五香、△1三同桂なら▲1四歩、ほうっておけば▲1五香〜▲1二歩成をねらって、いずれも先手の攻めが成功です。第1図の後手陣は一見スキがないように見えますが、歩を使ったテクニックを知っていれば、たくさんの攻め筋があるのです。 私が子どもの時代は「振り飛車は将棋が伸びない」と居飛車から入ったものです。当時は意味がよく分かりませんでしたが、歩をたくさん持つと本号で紹介したような手筋が頻繁に出現しやすく、将棋が積極的になるからだと今は理解しています。 四間飛車から美濃囲いは序盤こそ教えやすいものの、少し将棋が分かってくると「攻められないから指す手がなくなる」という声をよく聞きます。もっとも、これはだんだん強くなってきた証拠なので「それじゃ居飛車に行ってみる?」と、新しい知識を教えています。 |
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