彼氏彼女の事情はカレカノとアニメファンの間で呼ばれ、原作は「月刊ララ」に津田雅美先生が連載する学園ラブストーリー。「かたつむり前線」同様、バリバリの少女コミックです。
県立北栄高校一年生の宮沢雪野さんは、成績優秀、運動神経抜群、しかも優しい性格のうえ美人ときているのでクラスメートからとても人気があります。しかし自宅でのメガネとジャージ姿を見ると、まるで別人のようです。
つまり雪野はすごい見栄っ張りなんですね。ところが同じクラスの有馬総一郎くんが雪野の上を行く超優等生で、雪野はクラスメートからの人気を奪われつつある総一郎に、なにかとつっかかります。
その後、いろいろありましたが、この2人は付き合い始めました(そうなるだろうな、と思ったんだ……)。その経緯はオジサンから見ても実に面白いんですが、本編の主旨と外れますので残念ながら割愛します(T_T)
ある日のこと、宮沢一家は父・洋之、母・都香、雪野、妹の月野(中3)、花野(中1)と都香の実家に帰ります。電車の中で洋之は雪野を「お母さん似で、時々、昔の都香を見ている気分になる」と言っていました。実は雪野の両親は幼なじみで、都香が高校卒業と同時に結婚しました。
都香は一人娘だったため、祖父と洋之はいまだに仲が悪いように見えます。しかし、お互いが当人に対し悪口や悪態をつくさまを見ると、ホントは信頼しているのに照れ隠ししているようにも感じます。渡る世間は鬼ばかり(※1)とはちょっと違うんですね。
買い物に行こうとする都香に着いていこうとする洋之、このときおじいちゃんと雪野が三寸盤をはさんで対局中でした。雪野は背筋をピンと伸ばし、右手をあごに当てて考え中です。とってもりりしい対局姿でした。さすがは優等生、将棋が指せるフツーの女の子って本当にカッコいいです。
その盤側で難しい顔で観戦しているペロペロ(※2)の視線で見たと思われるのが左図です。1〜5筋の駒はちゃんと見えているんですが、6〜9筋は駒の種類が確認できません。多分、これじゃないかと私が置いた駒です。
これは祖父の四間飛車(※3)に雪野が天守閣美濃(※4)で対抗。すると祖父は藤井システム(※5)から玉頭攻めをを仕掛けたのでしょう。しかし、無理攻めだったようで、雪野にきっちり受け切られています。
5三銀と7三成桂の配置から、金は斜めに誘え(※6)ができることが判明します。雪野が図から「王手!」と言っていたので、おそらく▲6二成桂と指したのでしょう。
ただ、この手順の詰みを真剣に考えないと分からないのは、初心者よりちょっとだけ上かなって感じです。それに玉が3八なんて安全すぎる位置まで逃げ越す前に、いくらでも攻めて勝てたはずなんですね。
持ち駒が分からないんですが、祖父は駒損が激しすぎます。逆を返せば指導対局的な気分で、孫の実力を計るためにわざと無理攻めしたのでは、って読むことができます。本気を出せばもっと強いはずです。
その理由は一人娘に都香って書いて「みやこ」と読ませるからです。普通なら都や都子と表記するはず。わざわざ香車(※7)の一文字をとって都香とつけるのは、将棋ファン以外には思いつかない発想だからです。
それにしても、孫娘と将棋が指せるなんて、なんと幸せなおじいちゃんでしょう。僕も将来、本気を出して孫娘に負かされたら指導棋士冥利につきることと思います。
ということで宮沢雪野 5級/雪野の祖父 初段を認定
(※1)家族で言いたいことを言い合うテレビドラマ
(※2)宮沢家で飼われている愛犬
(※3〜5)いずれも将棋の作戦の種類
(※6)将棋のテクニックのひとつ
(※7)駒の種類のひとつ
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