「かたつむり前線」から
コミック第2巻第6話


かたつむり前線は藤川佳世先生が「LaLa」に連載しているバリバリの少女コミックです。主人公である高校2年生の若森朝子さんは、同級生で陸上部の佐倉高範くんに片想いです。

朝子はある日、なぜか落ちている制服と言葉をしゃべるかたつむりを見つけます。かたつむりは佐倉の友人で陸上部のエース、梶原篤士くんでした(※)。彼は成績も良くカッコいいので、とても人気があります。このかたつむりの世話を、なぜか朝子がやるようになりました。

74ページから屋上(かな?)にシートを敷いて朝子−佐倉戦があります。確認した局面は5九にいる「桂馬」が不自然ですが、実は盤上にある駒でこの桂馬だけが二文字駒。残りの飛、銀、香はテレビ対局で用いる一文字駒なんです。これは角が一枚なくなり、仕方なく他の駒から桂馬を持ってきて代用しているのでしょう。

さて、この局面は朝子の振り飛車に佐倉は棒銀ORななめ棒銀を採用しています。仕掛けは朝子が▲9五歩まで突き越している局面から、△9四歩▲同歩△8六歩▲同歩△7五歩▲同歩△同銀▲5九角△7七歩▲同飛△8六銀の進展ですね。

この局面で
朝「まって まって 佐倉くん、今の待った! ダメー」
佐「さっき若森さん 待ったナシ って言ったでしょ」
の会話があります。これは△7七歩に対し▲同飛で▲同角と取り、△8六銀なら▲9三歩成△同香▲同香成△同桂▲9四歩としたほうが良かったと思い直したか、桂が角だったのをうっかりしたのでしょう。本譜は飛車取りですからねぇ。

佐倉は突き捨て、たたきを知っておりこの局面で「うーん、次はあの銀で……」と読んでいます。これは飛車を逃げる手に対し、8七に銀を成るか不成かを検討しているのですね。

朝子は5八と4九に金がいないことから穴熊に囲っています。佐倉がなかなか攻めてこないので、手詰まりになって端を伸ばしたのでしょう。▲9八香と角筋を未然に避ける高等手段を知っていることから朝子もけっこう指せますね。高校生カップルの対戦としてはかなり高度な内容です。

朝子は心の中で「将棋盤をはさんで佐倉くんとのんびり昼休み これぞ至福のとき!」とか「ハタから見たらちょっと知的でステキなカップルってカンジ」って思っています。ホントそのとおりですねぇ。こういうカップルが公園にいたら、とてもカッコイイです。ぜひ、ペア将棋大会に出場してもらいたいです。

と、いうことで佐倉高範 2級/若森朝子 7級を認定

(※)梶原くんはストレスがたまると、かたつむりに変身する特異体質らしい。


・トップへ  ・棋力認定キャラ一覧へ  ・次へ