最初の駒落ちは「歩」


さて次は戦闘開始の図面です。これは、自分側の駒と、生徒の歩だけを並べてあげて、「歩の内側が全部、自分の陣地ね。さあ、自分の陣地に「先生の真似して、戦闘配置につけてみよう」と、生徒に並べてもらいます。

左の図はマス目の中に駒が入っていますが、実際はバラバラで、構いません。

なんとか、正解に並べられたら「ここで歩が、お互いの陣地の境界を示すラインで、相手の陣地に自分の駒が入ると、成るっていう進化形になるんだよ」と、教えます。

次は生徒側が自分で並べた戦闘開始の図だけくずして、あと2回、見本を見ながら並べてもらい、それがクリアできたら、すべての駒をくずして「さあ、自分の力だけで並べて見ようね」と、試してみます。もし、できなかったら、また見本を並べてあげましょう。

戦闘開始の図がクリアできたら、いきなり対局をはじめましょう。ただし、通常の対局ではなく、戦闘開始の図から双方の歩だけを落とします。
 
これは、いきなり取れる、成れるなど駒の動きやルールを体感させる簡易ゲームです。実際に駒を動かせて「王手」や「持ち駒の使い方」を教えてください。

生徒が迷っているようなら「香を大きく動いて、相手の香を取りながら成ってみようか」「じゃあ、持ち駒の角を打って王手をしてみようか」など、指し手にヒントを与えてください。

もし、駒の動き方があやふな子が2人いたら、他の生徒の指導対局をしながら、見えるところで対戦させるのも一変化です。ニ歩が絶対にないので、王手見逃しと、行き所のない駒だけは注意してあげます。

歩なし将棋を生徒と指したとき、生徒が自力で王手をかけてきたなら「あっ、うっかりしちゃった」なんて言って必ず取られてあげましょう。生徒のレベルに合わせねらいにはまってあげるのは、とても大切なことです。

この将棋を5〜6局も指せば、まったく知らないこどもでも、教室初日でだいたい駒の動きと、取る、成るをおぼえられます。また簡易ルールとはいえ、付き添いのお母さんにもう、人と将棋を指してると、びっくりさせる効果があります。

※なお、この「歩なし将棋」は私のオリジナルではありません。将棋史研究家の越智信義さんから大山康晴先生はこう教えていたとお聞きしたものです。

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