歩なし将棋でルールがだいたい理解できたら玉1枚で対戦します。 まず初手△4二玉に▲7六歩を教えてください。この一手により角の行動範囲が大きくなったことを、指でマス目の上をトントンとたたいて示しましょう。 続いて△5四歩と指したとします。ここで▲3三角成は△同玉と取られて、角と歩の交換になってしまい、駒には損と得があることを教えてあげます。私は玉は取られると負けだから雲の上。飛車・角が1万円、金銀が5000円、桂香が1000円、歩が100円ぐらいって評価しています。 ▲3三角成△同玉って自分から100円と1万円の交換をしたんだよ、すごいもったいないと思わない、と具体的な感覚で子どもたちに伝えることができます。 駒の利き(動ける範囲)が、攻めたり守ったりできるところです。上手側からみて玉の守備範囲=動けるマス目、下手側から見て角の動けるところ=攻撃個所になるわけです。 ▲3三角成は上手玉の守備範囲に自分から飛びこんだので、自爆しちゃったようなものですね。攻撃と守備が1対1だと守備側が勝つことを教えましょう。 飛車の縦の動きをじゃましているのはどの駒かな、などヒントを与え、▲2六歩△7四歩▲2五歩と飛車先を伸ばすと、縦の動きがどんどん敵陣に向かっていくのを強調してください。 ▲2五歩に△3二玉と指したとします。そこで歩と歩をぶつける▲2四歩が戦いの始まりです。歩は陣地の柵や壁のような役割を持っています。戦闘開始はお互いの柵(壁)を壊そうとすることを教えてください。 ▲2四歩のように相手陣の境界に歩が進んでいけば、上手がなんにもしないと▲2三歩成△同玉▲同飛成で玉を取ることができます。つまり、と金+飛車の2枚攻撃なら、玉1枚の防御を突破できるのです。 △2四同歩に▲同飛と取り返すのも大切な一手です。これで、飛車の縦の利きを止めていた歩がなくなり、相手陣に直撃できるようになりました。 ▲2四同飛に△2三歩と打ったとします。すると下手がなんにもしないと、△2四歩で飛車をただ取りされることを示し、飛車を横に動いてみようか、などヒントと出してあげましょう。でも▲3四飛や▲4四飛って、自分から相手の歩の頭に行っちゃうの、よくあるんです(>_<)。 そんなときは「あれ〜1万円ただでくれるんだ〜」とか、「気前いいね〜」とか、やんわりとたしなめてあげましょう。ぜったいに「ダメ」「弱い」「なに考えてるの」とか、あからさまに指した手を否定しないでください。 ▲5四飛と歩を取りながら動けば、次に5三、5二、5一の3箇所に成ることができます。このへんでちょっといじわるして△4二玉と指してみましょう。 すると玉の守備範囲が変わって、飛車が成れなくなります。「じゃあ、玉の守備範囲の届かないところから、飛車を侵入してみよう」とヒントを与えましょう。 【ちょっといじわるの図】から▲7四飛と指してくれれば、大成功です。これなら△5二玉と寄っても、玉の守備範囲から外れているため▲7二飛成とドラゴンに進化しながら王手となります。 王手とは次に玉を取るぞ、と、自分の駒が相手の玉がいるマス目に動けるようにすることです。また、▲7二飛成のとき、進化の証として駒を裏返すのを忘れずに指導しましょう。 さて、▲7二飛成に対し△5三玉なんて広いほうに逃げるのは、指導者として言語道断です。必ず△4一玉と詰ませやすいほうに逃げてあげます。すると▲7一竜△4二玉▲7二竜△4一玉……、と王手王手を繰り返す場合がよくあります。 1枚だけの攻撃で玉を倒すことはできません。▲7二竜(飛成)△4一玉の局面で、上は竜のバリアがあって、下はマス目の行き止まりだから、玉の行動範囲が狭くなっており、玉を詰ませるには、とてもいい条件であることを教えてください。 2枚攻撃をするためには、竜ともう1枚、攻める駒が必要です。角を攻撃に参加させるには、どうしたらいいかって感じのヒントを与えてみましょう。 ▲3三角成としてくれたら、だんだん将棋がわかってきた証拠です。すぐに2枚攻撃ができないときは、次にできるように準備をするのは、読みの第1歩になります。 【攻められるマス目】の図は▲3三角成の局面です。玉周辺の竜と馬が動けるところを示しました。ここで色が深緑になっている4二と3二が、竜と馬が協力している、次に攻められるマス目です。 ▲3三角成に対し△3一玉なら▲3二竜(馬)で詰みです。攻撃するとき、玉を詰みにするときなど、直接攻める(王手)をする駒と、それを応援する駒の2つが必要であることを強調してください。取られても取り返せる関係ですね。 また▲3二竜(馬)では▲5一竜でも詰みますが最初は実戦で一番生じる頭○(金とか成駒)を教えましょう。 |
@飛車と角を働かせるには歩を動かす A陣地の柵(歩)をなくす B玉の守備範囲の届かないところから侵入する C玉を詰ませるにはマス目の行き止まりを利用する D駒と駒の動けるところを協力させる |