玉1枚での対戦の次は、金→銀(6枚落ち)→桂(4枚落ち)→香(2枚落ち)の順で、上手の駒を増やしていくのが、一般的な駒落ちの順序です。しかし鬼斬流は飛車角からつけて香→桂→平手の順番を採用しています。 これはなぜかといえば、金なんて、駒の中でいちばん守備力の高い駒からつけたら、飛車角を成るのが大変ですし、成った後でも、玉を詰みにするまでが大変だからです。その点、飛車角だけだと守備力がないに等しいから上手は負けやすいし平手での指し方に応用できます。 柔道なら受け身、野球なら守備に重視を置きます。将棋も実は受けの鉄則から先に覚えるのが必要なんですね。それに、ちょっと将棋がわかってくると、飛車角だけってまったく攻められないことに気づいてくれます。サンプル棋譜に指導要綱をつけておきましたので、対戦というより、これを並べながら考え方を教えていきましょう。 それに金2枚で端攻め教えると平手でも端攻めするんで、いつも△同香って取られちゃうんです。普通の6枚落ちや4枚落ちは、2〜3級になって駒落ちの効用がわかる棋力になったら、(希望があれば)あらためて教えようと思っています。 飛車角からつけることの有用性に気づいたのは、生徒同士の対戦で「玉と金2枚で指して」って指示したとき、年上の上手の子がせんせい〜、飛車角ないとつまらないよって、言われて、じゃあ、金じゃなくて飛車角つけて指してごらん、ってことから始まりました。 その将棋は、下手の子が△8六歩に手抜きしたんで△8七歩成からボロボロにされてましたが、終わった後に上手の子がこういうの取ればいいって教え始めたんです。あっ、これだ! って思いました。上手の子(10級もないくらい)でも、将棋の基本を教えられる手合いなんだ、って。 それに既存の駒落ちは序盤の考え方が平手に応用できないから、平手で生徒(友達)同士と指したとき、戦術面で混乱するんです。上手から攻撃力ではなく守備力を奪うことによって、下手は受けの超基本を身につけられますし、極端な話、いきなり矢倉や振り飛車を教えたっていいくらいです。 さて、くだんの下手の子も3カ月ぐらいたつと、新しい生徒が入ってきたとき○○くんが飛車角だけねって指示したら、すごいうれしそうに駒を落として例の飛車先突破で楽勝しました。そしたら偉そうに取らないとだめなんて教えてました。 初心者の子どもに教える最適な先生は、ほんとはちょっとだけ強いお兄さん、お姉さんなんです。それを総括するおとなの先生はアマ初段ぐらいあれば十分です。自分も教えますけど、生徒にも教えるコツというものを指導しておき、棋力が違う子の対戦のときは教えてあげなよと言うと、ちょっと強い子は優越感にひたって、よろこんで教えてくれます。 |