出題のバリエーションのつけかた
前回は詰将棋問題から、読んでもらうための訓練を紹介しました。しかし実戦では詰将棋のように、きれいな局面から流れるような手順で詰ませるというケースはほとんど出現しません。そこで実戦でよく出てくる局面での詰み(攻め)筋を、パターン化させて教えています。

第1図から▲3一銀△1二玉▲3二竜は知っていればやさしい筋です。こうした竜と玉の間に相手の駒がいると、その駒は移動できないことを利用する攻め筋は、実戦で頻繁に出現します。

同じ意味のねらいとして、第1図から後手側の2一桂と3三歩を取ったり、2一桂を先手側の持ち駒にしたりとバリーションをつけます。こうした簡単な攻め筋を生徒が実戦で逃さないよう、指導者は大本の攻め筋と例題のストックをいつも用意しておく必要があります。

例題を作るといっても、さほど難しいことではありません。たとえば第2図を大本にすれば、先手側の持ち駒を飛車にしたり、後手側1四歩を突いて、先手側の持ち駒を角金や金銀にするなど、ちょっと考えればいくつもできます。

また大意さえ伝われば細かい変化(実際は応手によって難しいところがあるなど)を気にすることはありません。もし生徒から指摘されたら「よく分かったね、強くなったんだ〜」とほめてあげればいいのです。

出題のバリーションとして「持ち駒はなにがいいかな」というのも取り入れています。たとえば第3図で生徒に持ち駒を自由に選ばせ、その駒をどこにどう使うかを見るのです。

第3図は持ち駒を3二へ動けるように打てればOKで、歩を選んだら▲4三歩や▲4四歩が正解となります。これは生徒の棋風みたいなものがよく表れ、今後の指導方針を決定するうえで重要な役割があります。

なぜなら、私はおおまかに歩桂香を選んだら相がかり系、金銀を選んだら矢倉系、飛車角を選んだら振り飛車、と最初に教える戦法をここで決めているからです。使いたい駒の特徴が発揮しやすい戦形を教えることで、将棋の楽しさをより身近にさせたいのです。

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