「取るぞ」から「成るぞ」に
駒と駒の動けるマス目を協力させる、は超初心者にとって、ただ取られをされないためや、攻められるマス目にねらいをつける鉄則になります。しかし、少し将棋が分かってくると将棋のテクニック(手筋)を教える段階に入っていきます。

手筋とは以前に述べたように、ほとんどが捨て駒により玉を危険なマス目に呼び寄せたり、相手の駒の連絡を悪くさせたり、スキを作ったりする効果です。中でも「将棋は歩の使い方で決まる」と言われるように、歩の手筋は他の駒より各段に数が多くなるので、その理由を分かってもらいましょうでしょう。

まず第1図を例にします。ここですぐ▲2三飛成は△同銀と自分から銀の守備範囲に飛び込む結果になります。そこで▲3三歩△同銀と取らせ、3二銀の守備範囲を変えれば▲2三飛成で成功です。

ところが第1図で持ち駒が飛車だったらどうでしょう。いくらなんでも▲3三飛△同銀▲2三飛成は飛車が成れたとはいえ、サービスのし過ぎになります。ここで「飛車だったらもったいなくて捨てられないね。相手に渡しても歩だから大丈夫。だから将棋は歩の手筋がいちばん多いんだよ」と指導します。

次に出題するのは第2図です。すぐ▲3三歩は二歩なので、▲3五歩△同歩と突き捨てて▲3三歩がねらいになり「手筋の連続攻撃で相手陣にダメージを与える」など、戦いの意識を高める言葉を使ってください。
歩のタタキは「次に取るぞ」と打つので、手筋の中で理解しやすい部類といえます。これが歩を控えて「次に成るぞ」の垂れ歩になると、テクニックの洗練度がグっと高くなるので工夫が必要になります。

まず第3図で▲2三歩と角の捕獲に成功してから、第4図を出題します。▲2三歩なら△1三角があることを示して「と金で打てればいいんだけどね〜」など、2三にと金作りを考えるヒントを与えてください。飛車先に限らず垂れ歩の手筋は、これから何回も使うことになります。次に歩が成るぞの絶大な効果を強調してください。

・項目あんないへ  ・次へ  ・トップへ